2024年6月にオープンしたファンタジースプリングスホテル(FSホテル)。
ここまでいくつかの関連記事をアップしてきましたが、最後に現時点でグランドシャトーでの宿泊体験全体について感じていることをまとめます。
宿泊したのは2024年8月後半のため、現在は変わっている可能性もある点はご承知おきください。
結論：現時点では1泊30万は高い(支払う価値があるとは言えない)
結論は見出しの通りです。
理由としては、
- ソフト面の不満足
- たしかに高級な設備･豪華な建物などのハード面は揃っていました。ただ、「1泊30万という価格に対する期待を超えるようなサービスには出会えなかった」というのが正直なところです。
- 宿泊者ならではの体験がない
- 宿泊者特典はいくつかあるものの、「これなら30万の宿泊料金も納得」と言えるようなものは無かったです。
- ホテルステイを楽しむ方法が乏しい
- 1泊30万もする以上はなるべくホテルステイを満喫したいのに、ホテル内を楽しむ選択肢が乏しかったです。
- どんな体験を通してどう特別なリゾートステイを提供していくのか、目指すものが見えない
- 上記1～3を踏まえて、今後どのようなリゾートステイを目指していくのかが、現時点では分からなかったです。
になります。
それぞれ見ていきます。
理由①：ソフト面の不満足
まず、運営やサービスなどソフト面の不満として、オペレーションでいくつか問題が見られました。
- チェックインの際の待ち時間が長い
- 宿泊特典のアトラクション利用券を受け取るためには、一度グランドシャトーでチェックインを済ませる必要があります。パークに入る以上は少しでも早く入園したかったですが、受付の人員が少ないせいか、チェックイン手続きのテーブルに呼ばれるまでに1時間以上待たされました…
- 宿泊ギリギリまでメールが来ない
- アルコール飲料不要、ショーの鑑賞時間などいくつか要望があったたため、事前にホテルとメールでやり取りしていましたが、4～5日返信が来ないこともあり、宿泊2日前までスケジュールが固められない状態でした…
- スケジュールがなかなか固まらないので電話もしてみましたが、混雑しているせいか全く繋がらない状況でした…
- グランドシャトー入口の自動ドアの入り方が分からずあたふたする
- グランドシャトー入口には自動ドアがありますが、この扉は外からは開きません。一度だけ誰もいない時に通ろうとした際に、どうすればよいのか分からずあたふたしてしまいました…。脇にあるインターホンを押せばよかったのですが、初見では分かりづらいです…。常に人員を配置するか、説明書きでも置いて欲しいです…。
オープンから日が浅いのもあり、うまく運営できていない面もあったかもしれません。これらはいずれも対策を打てばすぐに改善できる問題のため、現在は改善されている可能性もあります。
また、コロナ禍もあり、建設期間の長期化･建設資材の高騰により、建物やオブジェなどにも想定以上のお金がかかっているはずです。ただ、宿泊者は豪華な建物･オブジェ･展示品を見るだけのために、グランドシャトーに泊まるわけではないです。東京ディズニーリゾートでしか味わえないサービス、食べ物、体験、空気･世界観があるから行きます。現状では建設コストがかさんだハードのために高い料金を出している印象があります…。
1泊30万の宿泊客であれば、他のホテルではスイートルームクラスです。だからこそ、運営･サービスは減点が許されないはずですが、このあたりは残念でした。
理由②：グランドシャトー宿泊者だけができる体験がない
グランドシャトーの宿泊特典は以下です。
- 宿泊者特典①
- アトラクション利用券･ショー鑑賞券
- 専用エントランス
- ハッピーエントリー
これらはいずれも運営側で追加コストがかからないサービスです。
- 宿泊者特典②
- ラ･リベリュールを利用できる権利 ※別途料金、要予約(競争)
- 宿泊者限定グッズを購入できる権利
- 既に販売終了しているグッズもあるようです…
30万円の宿泊料金に、さらに追加料金を支払うことで得られる満足です。ただし、ラ･リベリュールは個人的には1人23,000円を出す価値のある満足度の高い食事体験でした。
- 宿泊者特典③
- ミニバーが豊富
- おかわりは有料…
- ウェルカムスイーツ･ドリンク
- 質･量ともに物足りない…
- ミニバーが豊富
「こっち(ゲスト側)はお金かけたのに、そっち(運営側)はお金かけないのね」感が拭えないです…
宿泊特典は多数ありますが、「グランドシャトー宿泊者だけが必ず体験できる何か」がなかったです。唯一リベリュールでの食事は満足度が高かったですが、利用にはグランドシャトーの宿泊が必須です。1泊30万だしてまで、また行きたいとは思えないです。リベリュールだけ行けるなら是非行きたいです。
予約困難なリベリュールですが、私たちは運よく朝食2回、夕食1回利用できました(2024年8月時点)。しかし、10月1日以降は、1泊だけの場合はチェックイン日の夕食 or チェックアウト日の朝食いずれか1回のみの利用に制限されています。
理由③：ホテルステイを楽しむ方法が乏しい
1泊30万もする以上は、なるべくホテルステイを満喫したいところですが、グランドシャトーエリアだけで過ごす選択肢が乏しかったです。
■グランドシャトーでの過ごし方
- バルコニーからパークを眺める（これも夏場･冬場は厳しいです…）
- 館内装飾、絵画、ディズニープリンセスのドレス展示を見て回る
■ホテルステイをするには物足りない点
- ミラコスタのポルトパラディーゾ･サイドと異なり、客室からハーバーグリーティングやショーは見えないため、客室から見える景色があまり変わらない。また、FSエリアは木が多く、パーク内を見渡せる感じでもない。
- 美女と野獣のストーンアートがあるローズコートはあるが、ファンタジーシャトー宿泊者も見られる。
- グランドシャトー宿泊者専用の売店がない（ファンタジーシャトー宿泊者も利用できる売店はあり）。
- グランドシャトー宿泊者専用の飲食可能なラウンジがない。ミラコスタ･ランホには、一部の宿泊者だけが無料で利用できるラウンジがある（サローネ・デッラミーコ、マーセリンサロン）。
- 宿泊者だけが楽しめるプール･スパなどの施設･エリアがない。
パークインしてしまうと、ホテルに滞在する時間が減ってしまい、30万の宿泊料金がもったいなく感じます。なるべくホテルでゆったり過ごすことも考える人もいるはずです。
グランドシャトーエリア、客室内で体験できる特典や宿泊者だけが行ける施設のようなものが欲しいところです。
理由④：どんな体験を通してどう特別なリゾートステイを提供していくのか、目指すものが見えない
理由①～③を踏まえて、最後に全体的な理由として、「どんなリゾートを作っていきたいのか見えない」という点が挙げられます。
- ミラコスタと同じものでは物足りない
- 1泊30万すること自体は悪いことではないです。それだけの高級リゾートを目指すのであれば、それに見合う体験を提供できればよいだけの話です。
- ただ、ミラコスタのポルト･パラディーゾ･サイドに初めて泊まった時に、カーテンを開けてハーバーを見渡して感じた「ここに泊まれるのか！」という感動を超えなかったです。ミラコスタで感動レベルが上がっているゲストに対して、同じレベルの感動では物足りません。さらに言えばミラコスタは10万以下で泊まることも可能です。
- ハードにお金がかかり、ソフトが萎んでいる印象
- 高騰する人件費･建設費･資材費もあり、各種料金の頻繁な値上げ、利用条件の厳格化、ショーの簡素化(回数減少、フロート減少、投入人員の減少)など、オリエンタルランド全体でサービス･運営に係るコスト削減の流れを感じます。
- それがグランドシャトーにも表れているような印象を受けました。1泊30万のホテルで「サービスが物足りない…」はいただけないです…
- どういう過ごし方を提供したいのかが見えない
- ホテルステイを楽しみたいですが、ホテルでの過ごし方の選択肢が乏しいです。アトラクション利用券･ショー鑑賞券などが特典であることを踏まえると、運営側としてはなるべくパークインさせたいということでしょうか。
- 個人的にはパークをメインで楽しむ人はファンタジーシャトー、ホテルステイを楽しみたい人はグランドシャトーなど、使い分けができるとより良いです。
ここでしかできない体験、食べられない料理、味わえない雰囲気。それぞれが相乗効果を持つことで他では味わえない体験になりますが、現状は未完成感がぬぐえないです。
こういう宿泊体験がしたかった
私自身が宿泊前にグランドシャトーに期待していたものは以下の通りです。
- 1泊30万も出す以上は想像もできない何かを体験できる
- 日常から離れて贅沢な時間を過ごしたい
結果としては、予想外の感動には出会えず、贅沢と思える過ごし方もできなかったです…
■グランドシャトーでの理想の過ごし方
- 宿泊者専用のラウンジでパークを眺めながら家族とゆっくり過ごす
- 宿泊者専用のプール･スパを楽しむ
- 館内や敷地内を散歩する
- 朝食と夕食はラ･リベリュール
- パークは早めに出て、客室に戻ってゆっくりする
このような過ごし方は現状はできないです。
今後はディズニー以外のラグジュアリー系ホテルにも泊まってみたいです。グランドシャトーに具体的に何が足りないのかをさらに考えてみたいです。
株主目線で見ても、宿泊者に「値段の割には物足りない…」と思わせる状況では先行きが不安です…。今後もアトラクションやエリアのリニューアルは控えていますが、物理的な拡張はこれ以上できないはずであるため、ソフト面での魅力アップは不可欠です。
それでも今はオープン直後で需要が高く、予約困難な状況が続きます。これが一巡した時にどうなるかです。オリエンタルランドとしてはよりお金を落としてくれる外国人旅行客でグランドシャトーを埋めたいということでしょうか。
コロナでの減少を挟みつつも、2024.3期は海外ゲストがコロナ前水準を超えています。
現状は「ハードは作った。あとはソフトを磨いていく。」という段階のように感じます（本来はオープン時に魅力的なソフトも用意して欲しいところですが…）。パーク一体型ホテル、ファンタジースプリングス、ミッキー…があれば、ソフトはこれから魅力的にしていくことも可能なはずです。
現時点ではこれ以上グランドシャトーに宿泊するつもりはないですが、また行きたいと思える日を待ちます。これからに期待しています。
※あくまでも個人の見解であり、判断根拠とした情報が間違っている可能性もあります。また、情報が変わっている可能性もあるため、実際に行かれる際は、公式サイトなどを事前にご確認ください。
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