クミアイ化学騒動からの教訓

銘柄分析

先日の「新NISAがスタートした今、特定口座で投資すべきケースはあるのか」でも触れましたが、2023年12月14日、クミアイ化学工業から2023年10月期の増配&2024年10月期の減配見込みが同時に発表され、年末の悪いサプライズとなりました。

私自身も20%以上下落した状態で株式を売却することになりました。

クミアイ化学騒動から少し時間がたち、改めて次の投資への教訓を考えてみたいと思います。

2023年6月9日、

  • 期末配当予想の大幅増額(2022.10期22円→2023.10期42円)
  • 第2四半期決算説明会資料における株主還元拡充(と思しき)予告 ※添付画像下部

が発表されました。

クミアイ化学工業「2023年10月期 第2四半期 決算補足説明資料」

それを受けてSNSでは多くの投資家たちがお勧めしている状況でした。

それに加えて、非減配20年以上と実績も十分です。

SNSで目にすることが多くなり、「会社が予告ホームランを宣言しているわけだし…」と私自身も期待を込めて購入していました。

2023年12月14日、

  • 2023年10月期は予想通り年間配当42円
  • 2024年10月期からの中期経営計画では、配当性向30%を目標とする ※今までは特に目標値なし
  • 2024年10月期の年間配当予想28円(配当性向30%) ※添付画像上部

が発表されました。

クミアイ化学工業「決算補⾜説明資料(2023年10⽉期)」

当期増配は織り込み済みでしたが、翌期減配はネガティブサプライズとなり、翌日には100株100,000円ほどだった株価が約80,000円に大暴落…

年の瀬にSNSも大きく賑わいました…

改めて今回の騒動を考えてみます。

  • 配当性向などの数値目標は今回初めて設定されたため、株主還元目標が未達となったわけではない
  • 会社としては翌期業績が下がる見込みの中で、配当性向を上げる判断をしており、次の成長投資も踏まえて精一杯の還元をしているとも言える
  • 2022年10月期までの10期の平均配当性向は約18%であり、2023年10月期以降の配当性向30%は、「大幅に株主還元を強化した」とも言える
  • 増配発表と同時の「より株主の皆様の目線に立った…」であったため、「増配した金額を維持しつつ、さらに株主還元を強化する」と思い込んでいたふしがある…

以上を踏まえると、会社としては決して裏切ったわけではないとも考えられます。

今回の教訓としては、

  • 最近ありがちな「SNSでのお勧め」を投資の根拠にしていなかったか
    • SNSをきっかけにして買ってもよいが、他人の意見を参考にする際は、きちんと納得するまで自分で調べる。失敗の責任をとれるのは自分だけ。
      • 北米での好調は今後も続くのか、今後販売する国は増えていくのか、特許が切れる(ジェネリック対策に値下げを迫られる)国・地域はどれくらいあるのか…などなど、調べるべきことはまだまだあったと思います。
  • 「より株主の皆様の目線に立った」など、人によって解釈が分かれる表現の場合、本当に自分の解釈でよいかを考える必要がある。自分にとって都合のよい解釈になっていないか。数値目標がない場合は特に。
  • 過去は未来を保証しない
    • 2023年10月期までの決算を見ると、ほぼ右肩上がりの業績です。過去は未来を考える上での参考にはなりますが、未来を保証するものではない。

2023年は日本株の上昇相場に乗って運用成績は好調でしたが、改めて自分なりに考えることの大切さを身銭を切って学びました。年末の締めくくりに良い戒めを得られました。

※あくまでも個人の見解であり、判断根拠とした数字が間違っている可能性もあります。投資は自己責任でお願いします。

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