新NISAが始まり、以前よりも投資をしやすい環境が整う中で、株主優待を目当てに投資をしている方も多いのではないでしょうか。
東証のPBR(=株価÷1株純資産)改善勧告に伴い、各社がどう株価を引き上げていくか対応を迫られる中で、株主優待は良くも悪くも手っ取り早く株価を押し上げる可能性がある施策です。
そして、その株主優待の中でよく見かけるのがクオカードです。
昨年末にタマホームのキャンペーンで我が家もクオカード2万円分をゲットしましたが、これが案外使い道が難しい…
我が家はコンビニはほぼ使わないですし、よくお世話になる浦安の某テーマパークでも、クオカードを使える施設がほぼありません…
JCBギフトカードなど、より使い勝手がよい商品券はありますが、株主優待として見かける頻度はクオカードが圧倒的に多いかと思います。
今回はなぜ、株主優待はクオカードが多いのかを考えてみました。
クオカードとは?
クオカードは、株式会社クオカードが1987年から発行するギフト券です。
- 株式会社はクオカードは非上場ですが、100%親会社である株式会社ティーガイアは上場企業
- 株式会社ティーガイアの株主優待はやはりクオカード
- 使える店舗は約6万
- 券面は300円券~10,000円券の8種類
- 東証に上場している企業のうち、株主優待にクオカードを採用している企業は、「楽しい優待生活&配当」によると、採用企業は約450社
- 東証の上場会社数は約4,000社であり、採用割合は11.25%
- 会社のロゴを入れるなど、オリジナルのクオカードを作ることもできる
JCBギフトカードとは?
比較対象としてJCBギフトカードも見てみます。
JCBギフトカードは、株式会社ジェーシービーが1980年から発行するギフト券です。
- 株式会社ジェーシービーは非上場。親会社には三菱UFJ銀行、三井住友銀行、オリックスなどの有名企業が並ぶ。
- 使える店舗は100万以上(桁が2つ違います…)
- 1,000円券または5,000円券のみ発行
- 東証に上場している企業のうち、株主優待にクオカードを採用している企業は、「楽しい優待生活&配当」によると、採用企業は約10社
- 東証の上場会社数は約4,000社であり、採用割合は0.25%
- クオカードのようにオリジナルデザインを発行することはできない
なぜ、株主優待はクオカードなのか
なぜ企業は利用できる店舗が圧倒的に少ないクオカードを株主優待に採用するのでしょうか。
個人的な推測ですが、クオカードだけの特徴として「会社のロゴを入れるなど、オリジナルのクオカードを作ることもできる」点があります。
これはつまり、自社のオリジナルクオカードを発行することで「広告宣伝効果を持たせることができる」とも言えます。
そして、広告宣伝効果を持たせるということは、(交際費ではなく)広告宣伝費として扱う余地があるということになります。
会社規模が大きい上場企業の場合、一部の飲食費を除いて交際費はほぼ経費にできません。それを避けるために広告宣伝費として扱うことで、経費にする(税金コストが下がる)ことができる点が大きいように思われました。
ただし、実際に企業がどう会計処理しているのかまでは確認できなかったうえに、自社のロゴなどを入れていなければこの説は成立しないため、どの程度の企業が自社オリジナルクオカードを発行しているのかも見たいところです…
また、たとえ広告宣伝効果があるとしても、実態を踏まえると交際費とすべき取引のようにも感じます…
ひとまず以上を踏まえてポイントとしては、
- クオカード → 会社にとってメリットが大きい(税金コストの低減)
- JCBギフトカード → 株主にとってメリットが大きい(使い勝手がよい)
という結論になると思いました。
クオカードを採用することが「株主軽視」と言っているわけではありません。
「税金コストを下げる=最終利益が増える」であり、株主にとってもメリットはあります。
そんな中で敢えてクオカードを使うことは、企業にとって何か意味があるはずです。
私自身は株主優待はあくまでも”おまけ”的な位置づけと考えていましたが、株主優待を深堀りしてみると他にも企業側の裏事情が見えてきそうだと思いました。
※あくまでも個人の見解であり、判断根拠とした情報が間違っている可能性もあります。投資は自己責任でお願いします。
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